天然ガス考察 rev.2(2024/02/18)

天然ガスですが、予想していた下限限界の1.63を割りました。このジワジワ下げの値ごろ感でロングの雰囲気が2020年の3月頃の原油に似ている気がします。

2020年の3月の原油ですが、コロナで需要が2000万バレル減るんじゃないかと言われる中で、ロシアが追加減産に反対したことで、サウジアラビアとロシアによる無限増産が行われ、原油価格が20ドル台と歴史的な水準にまで下落しました。

ここで、中国銀行が原油ETFを大量に顧客に売りさばいており、実質的な原油ロングが溜まっていました。またこのETFのロールオーバーのタイミングが決まってた為、ヘッジファンドに狙われたともいいます。そして、原油マイナス価格に繋がります。

その後は、1000万バレルの協調減産したところで、2000万バレルの需要減なら下がるだろという方々を養分に値を上げていくことになります。

今回の天然ガスも同じようにマイナスになるとは言いませんが、セリクラによるオーバーシュートが発生しないと反転は難しいようにも感じます。もしくは、それを凌駕する何らかの材料がくるか。

天然ガスは原油と違い採掘コストが非常に小さいところも苦しい。通常の天然ガスの採掘コストは1ドル程度で、シェールガスは2.56ドル程度とも言われますが、天然ガスと同時にコンデンセート油(原油みたいなもの)が一緒に採れるような場所であれば、ガスを0ドルで販売してもコストが取れます。

故に、採算割れだから生産を抑制しようとする動機が生まれにくい所になります。最も、輸送コストはタダではありませんし、全てがコンデンセート油が併産されるとは限りませんので、現実的には下限はあるかと思いますが、それでも天然ガスの採掘コストが安い事に変わりはありません。

BPのデータでは、米国のシェールガスの最大、最小及び平均損益分岐点となる価格は、それぞれ、8.1ドル/百万BTU、2.65ドル/百万BTU、4.85ドル/百万BTUとなっており、米国内の天然ガスの市場価格は、平均損益分岐点をほぼ下回る状況にあります。

経済産業省 資源エネルギー庁 第1節 米国の「シェール革命」による変化

それによると、下図のとおり、併産されるコンデンセート油の量が0の場合、ガスの損益分岐点は4ドル/百万BTUとなりますが、ガス100万立方フィートあたり50バレルのコンデンセート油が併産される場合には、ガスを0ドルで販売しても採算がとれることになります。

経済産業省 資源エネルギー庁 第1節 米国の「シェール革命」による変化

しばらくは天然ガスが安値で推移するのは続きそうな予感を感じますが、どこかのタイミングで吹き上がるのではないかと思います。勝負をするにしてもタイミングは難しそう。値ごろ感でロングしたら、原油みたいにマイナス突入もあり得るかもしれませんし、普通に歴史的安価というところで反転が起きるかもしれません。だいたいこういうのは、スケベ心のある方々を皆殺しにしてから動きますし。

ここまで書いておきながらですが、決して天然ガスの買い煽り・売り煽りをしているわけではありません。(重要)

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